フィンランドの森から

いよいよ夏本番!

フィンランドの森から
夏至の頃の夜空
6月はフィンランド語で Kesäkuu(Kesä: 夏 + kuu: 月)と言います、まさに夏の月なのです。
3月の最終日曜日からサマータイムが始まり、6月の夏至に向かって日に日に日照時間が長くなり、真冬とは正反対の太陽が照り輝く眩しい季節に突入します。
私が住んでいたタンペレはフィンランド南部に位置するので完全な白夜にはなりませんが、それでも夜の11時頃まで空が明るいため、夕食の後に家族で森に散歩に出かけたり公園で遊んだりして、外での活動をたっぷり楽しんでいました。

フィンランドの森から
夏至の頃の22時半~23時過ぎの空。晴れた日は空の色が変わっていく様子を眺めるのも楽しい。

フィンランドの森から
コテージ滞在中に採れたベリーをバニラアイスと一緒に。
Marjapoimuri フィンランドの森から
ベリー摘みの道具「Marjapoimuri」

フィンランドの森から
当時3歳の息子。
美味しそうなベリーが採れた時には満面の笑みで写真を撮らせてくれました。
子供たちと森を歩いてまず見つけるのは、ベリー。どの森に行ってもたくさん収穫することができるのが、Mustikka(ムスティッカ=ビルベリー)です。地面から30センチほどの低木につく実なので、たくさん摘むのはかなり大変な作業です。そこでよく使われるのがMarjapoimuri(Marja: ベリー + poimuri: 摘む)という道具です。実と葉っぱが同時に採れてしまいますが、手で一粒ずつ採るのと比べれば、楽に収穫できます。

バケツいっぱいに収穫したあとは、葉を取り除いてジャムやジュースを作ります。
Vadelma(ラズベリー)もよく見かけるベリーで、子供たちも散歩途中によく食べていました。フィンランドではどこの森も

自然からの恵みはみんなで楽しむ。

というルールがあって、私有地だから立入禁止ということはありません。どの森に行ってどれだけベリーを摘んでもいいのです。

フィンランドの森から
当時1歳の娘。
自分たちで好きなように摘んで食べていました。
フィンランドの森から
コテージは湖畔にあります。
目の前が湖なので、ボートで釣りに行ったり、サウナでほってた体を湖の水で冷やすのに最適な環境です。

その他にも、夏を象徴する食べ物といえば、新じゃが、ザリガニ、えんどう豆などがあります。
新じゃがはディルと一緒に茹でると更に美味しさが増し、夏の食卓に欠かせない存在です。
ザリガニは湖で捕れ、好きな人はザリガニパーティーを楽しみます。日本人にとってのザリガニは「子供が夏に遊ぶ生き物」ですが、真っ赤に茹でられたフィンランドのザリガニは、エビ・カニが好きな人なら、きっと気に入る味わいです。

フィンランドの森から
いちご農園にて
ベリーの中でもいちごはこの時期、小さなパック入りだけでなく、大きな箱入りも売られていて、ジャムを作ったり、小分けにして冬のビタミン補給用に冷凍保存しておきます。フィンランドのいちごはまさに「自然そのままの味」です。日本のスーパーなどでは、“糖度何度”という表示をよく見かけますが、糖度で線引きをして取捨選択する感覚はフィンランド人は持ち合わせないのでしょう、とても酸っぱいいちごもあれば熟れて甘いものあり、自然の恵みをそのまま頂きます。
えんどう豆は屋外マーケットに行くと、さやに入ったままのものが山積みになって売られています。もちろん料理にも使いますが、生のまま食べるのがフィンランド流。さやから出しながらポリポリと公園のベンチなどで食べている人をよく見かけました。

フィンランドの学生は6月になると夏休みに入り、8月半ばの新学期までの約2ヶ月半の間、夏をたっぷり楽しみます。仕事をしていてもたいていの人は4週間程の休暇を取って、家族との時間、自然に親しむ時間を満喫します。4週間の休みを当たり前に取れる国、フィンランド。人生の中で仕事はほんの一部で、余暇を楽しむための時間もたっぷり持つ。そんなフィンランド流のライフスタイルは今の日本ではまだまだ馴染みませんが、人間の気持ちに寄り添った、自然で心地よい生き方だと感じます。

フィンランドの森から
湖畔で日光浴を楽しむ人々

さて、この季節に欠かせないことが、まだあります。日光浴です。子供たちと公園に遊びに行った時に、ビキニ姿で芝生に横たわる女性を初めて見た時は驚きましたが、日照時間の短い時間が続いた後は日差しが恋しくなるのは自然なことだったのです。ビキニは泳ぐためだけではありません。日を浴びるためでもあったのです。まだ肌寒い春先でも太陽が火をを出すとすぐにTシャツになる人がいるのも頷けます。夏の太陽を逃すわけがありません。一年分の日光を浴びるかのように日なたを好んで過ごすのです。

晴れて気持ちのいい日には、湖水浴にもよく出かけました。水温は夏でもそれほど上がらないので、ずっと水に浸かっているわけにはいきませんが、湖畔は子供たちには楽しさいっぱいの遊び場で、砂場遊びをしたり、浮き輪で浮かんでみたり、時には泳いでいる鴨を観察したりした物です。湿度が低いので、日なたがいくら暑くても、木陰に入るとすっと汗がひく気持ちの良さを懐かしく思い出します。大自然の中の木陰でほっとするひとときは、私の夏のお気に入りでした。

Kesämokki フィンランドの森から
この時期の爽やかな森と湖

夏至祭の頃には、多くの人々がKesämokki(サマーコテージ)での滞在を楽しみます。日本では別荘を持つことはあまり一般的ではありませんが、フィンランドではコテージやボートを持つことはそれほど特別なことでありません。友達のボートに乗せてもらったり、コテージに招いてもらうこともありました。そのコテージは豪華な別荘というよりは、あっさりした作りで自然に親しむための扉のようです。大変な準備をすることもなく、気の向くまま、余暇を自然の中で楽しめる環境も、ゆとりある休み方を支えていると思います。

Hauki フィンランドの森から
コテージ滞在中に釣れたHauki(パイク)

フィンランドの森から
Makkara(マッカラ=ソーセージ)をグリルで焼きながら、フィンランドを代表するビール、KARHU(カルフ=熊)を頂きます。
コテージでは、釣りやバーベキューを楽しむのが定番です。バーベキューに欠かせないものといえば、Makkara(マッカラ=ソーセージ)でしょう。炭火で焼いて屋外で食べるMakkara、ビール好きには最高のおつまみです。
そして、湖で釣れる代表的な魚は、Hauki(ハウキ=パイク)です。Marimekkoのティータオルに登場したり、子供たちが歌う歌にも登場するような誰もが知っている魚です。コテージでムニエルにして食べた時の味は忘れられません。大自然の中で自分たちが釣った魚を調理して頂くことができるなんて、他に変えがたい贅沢な経験です。またいつかそんな夏を過ごしたいものです。

夏のフィンランドは、太陽があり素晴らしい景色があり美味しい食べ物があり、仕事なんてしてる場合じゃありません。一年で最もいい時期は仕事を忘れて大切な人たちと充実した時間を過ごし、リフレッシュしてまた日常生活に戻る。合理的でもあり、心にも体にもあるべき姿です。

フィンランドの生活や食について6回にわたりお伝えしてきました。今回が最終回となります。
私の大好きなフィンランドの魅力が皆様にお伝えできていたら幸いです。
最後までお読み頂きありがとうございました。

草稿: カハヴィラアムリ Kahvila Amuri, 亮子
編集 ・ライティング: LAMPIONAIO, Etsuko

Vappu 2009 Tampere フィンランドの森から

待ちわびた春を迎える日「Vappu」のすごし方

Vappu 2009 Tampere フィンランドの森から
Vappu 2009
ゴールデンウィーク中の5月1日は労働者の祭典、メーデー。ヨーロッパでは夏の訪れを祝う日でもあり、フィンランドではVappu(ヴァップ)という、学生たちのお祭り日です。長く寒い冬を過ごした後、待ちかねた春の到来をお祝いし、学生に限らず、街全体がお祭りムードに包まれます。高校を卒業したばかりの面々は、記念にもらった白い帽子を被り、街に繰り出します。この白い帽子を被るのはその春の卒業生だけでありません。学生時代の帽子を毎年、Vappuには必ず被るという先輩世代もたくさんいます。街全体が一体となり、大きな盛り上がりを見せます。
Vappu 2009 Tampere フィンランドの森から
Vappu 2009
2009年のVappuの様子
この年はよく晴れていました。
Vappu 2009 Tampere フィンランドの森から
Vappu 2009

タンペレでは毎年、タンペレ工科大学の1年生がクレーンで吊ったゴンドラに乗り、川に沈められるという儀式(イベント?)があります。年によっては雨でかなり肌寒いVappuを迎える場合もありますが、気温がどうあれイベントは行われます。この川にはNäsijärvi(ナシ湖)の水が注いでいてます。氷が解けたばかりの湖の水ですから、相当冷たいはずです。でも学生たちはそんなことお構いなし。酒瓶片手の学生もいれば、ほとんど裸の学生もいて、賑やかというよりは、馬鹿騒ぎと表す方がふさわしいでしょう。それを見物する大人たちも、「また馬鹿なことをやって…」と呆れたり、不快な気分に陥るのではなく、「今年もやってるね〜。」といったおおらかな反応で、自分たちは自分たちでヴァップを楽しむといった様子です。
楽しむ時も自分は自分、他人は他人という境界を明確に持っているのかもしれません。岸辺でピクニックをしながら春の日差しを浴び、歓迎ムードさえ伴って学生たちの騒ぎを見守ります。学生たちは盛り上げ役とも言えるのでしょうね。

Vappu 2010 Tampere フィンランドの森から
Vappu 2010
この年の Vappu は雨上がりのかなり気温が低い日でした。
子供に毛糸の帽子を被らせて出かけたほどの寒さでしたが、イベントの内容は毎年変わりません。

Vappu 2010 Tampere フィンランドの森から
Vappu 2010
雪解けのNäsijärvi(ナシ湖)の水が手前から奥へと流れるています。
空を覆いつくした雨雲と限りなく0度に近い川の水。寒さが伝わってきます。
Vappu 2010 Tampere フィンランドの森から
Vappu 2010
Vappu 2010 Tampere フィンランドの森から
Vappu 2010

私は、フィンランド人は真面目、親切、物静かな人が多いという印象を持っていますが、Vappuのを楽しむ人たちの様子から、イメージとは違った、フィンランド人の陽気でおもしろい一面を見つけました。冬の時期に家にこもる“静”のフィンランドと、春になって動き出す“動”のフィンランドのどちらにも魅力があり、人々はその季節その季節を上手に楽しんでいます。

さて、いよいよ食べ物をご紹介しましょう。Vappuに欠かせないものは、シマ(Sima)という炭酸飲料と、ティッパレイパ (Tippaleipä)という揚げ菓子です。その他にも、春のピクニックではミートボールやポテトサラダなど、お好み次第で様々な品が登場します。シマ(Sima)は既製品も市販されているポピューラーな飲み物ですが、手作りするのも楽しいものです。イーストで発酵させるために寝かせておく1週間くらいのその間、春という季節の訪れを待つその時間が、私は大好きです。

Sima Tippaleipä フィンランドの森から
ティッパレイパ Tippaleipä & シマ Sima

新緑の白樺 フィンランドの森から
5月になると白樺の若葉も一気に出てきます。
5月に入ると木々の緑が出始め、外ですごすのが気持ちの良い季節になります。大通りには夏限定のオープンカフェができたり、レストランのデッキやテラスにもテーブルと椅子が置かれ始めます。太陽が出た途端、半袖になる人が多いことには驚きました。気温が10℃ちょっとしかない日でも、太陽が出ていると半袖姿で歩く人の姿が見られます。寒くても、とにかく日を浴びることを大切にしていることがよく分かりますね。
こうして、フィンランド人は大好きな太陽の季節を迎えます。3月、4月の鬱陶しい雪解け時期を切り抜けて、待ちに待った爽やかな新緑の季節の到来です!
フィンランドの5月の湖畔 フィンランドの森から
青空と新緑と湖
これぞフィンランドの5月。外に出ずにはいられません!
爽やかなイメージのあるフィンランドですが、問題を抱えていないわけではありません。アルコール依存症の人が多いということがその一つに挙げられます。冬の暗く寒い期間が長いことなども要因とされているようですが、気持ちの良い季節が巡って来ると、そんな人たちも外のベンチに何人かで集っている姿をよく見かけました。じっと家にこもりがちな冬から開放されて、誰もが太陽を求めて外へ外へと意識の方向が変わるのですね。

フィンランドについて語っていると、気候に関しては日本のそれを表現する時以上に「違いが大きい」ことを実感します。同じ時期でも年によって気温の差に大きな違いがあり、日々の天気も激しく変化します。一日の中でも、いい天気だと思って出かけ矢先、急に雨雲がかかり、あっという間に雨が降り出したりするのです。天気予報は毎日マメに確認していました。

天気が悪くて期待通りの外出が叶わない日があるからでしょう、好天に恵まれると「今日は子供たちと外で思い切り楽しもう!」という気持ちになり、ベビーカーを押しながらいろいろな場所によく出かけていました。天気のいい日、気候のいい季節に外ですごさないのは勿体ない!そんな気分になるのです。フィンランドの人たちは、長い冬、雪解け雨の多い時期の憂鬱があるからこそ、太陽のありがたさを知っているのだと思います。

ヴァップからの数ヶ月間。誰もが春・夏を思う存分楽しもうと意気込み、フィンランド全体が開放的になる晴れ晴れとした季節です。

草稿: カハヴィラアムリ Kahvila Amuri, 亮子
編集 ・ライティング: LAMPIONAIO, Etsuko

5月になると近所の公園に咲いていた“ハートのお花”
日本では「ケマンソウ」、「タイツリソウ(鯛釣り草)」。
英語では “bleeding heart”。
湖畔 フィンランドの森から

雪解けの季節、イースター(Pääsiäinen パーシアイネン)の季節

フィンランドの3月半ばから下旬にかけて、年により、地域により多少の違いはありますが、雪解けが始まります。
気温が0度を超えた途端に、輝くほどに真っ白い雪の明るさに包まれた季節が終わりを迎えます。

初春 フィンランドの森から
3月末頃の森と湖の様子。まだまだ寒いですが、草木は春の準備をしています。
湖畔 フィンランドの森から
4月12日に撮影した湖畔。
湖の氷はだいぶ解けているものの、岸辺にはまだ氷が残っています。

雪解けの道路 フィンランドの森から
雪解けが始まった外の様子
道路が…
春が近づく喜びと、「ドロドロを我慢するあの時期か…」という、雪が完全に解けて街が乾くまでの憂鬱とが交錯します。

日本の首都圏では、積もった雪なら晴れた日が数日あればあっという間に解けて乾いてしまいますが、フィンランドの積雪量だとそう簡単にはいきません。大量の雪が解けるのですから、その水たまりの大きさも比べ物になりません。街中がドロドロです。その水分が乾き始めると、長い冬の間に車道や歩道に撒いた転倒防止の砂利を回収する車が動き始め、今度は埃っぽい時期に突入します。

森の雪もなくなって茶色い地面が顔を出し、湖の氷も面積が日に日に小さくなります。新緑が見られる気持ちの良い春まであと一歩というところです。

我が家タイヤ交換 フィンランドの森から
我が家の車のタイヤ交換。中古で購入したこの車は、購入時の走行距離が既に23万キロ!4年程使い、帰国前に中古車販売のサイトに掲載するやいなや買い手が現れ、新しいオーナーのもとに旅立ちました。物を使い捨てにしないで大事に使うんですね。
この時期にやるべきことの一つに、車のタイヤ交換があります。DIYが身近なフィンランドでは、車のメンテナンスは多くの人が自分でやってしまいます。もちろん法律で定められた車検はありますが、日々のちょっとした不具合の修理くらい、朝飯前のようです。

DIYといえば、知り合いに自分で家を建てる人や、中古の家を買って自分で改装する人がたくさんいます。珍しいことではありませんでした。自分が日々使うものは自分で手入れをし、大切な居住空間も時間をかけて自分で楽しみながら作るのです。

そんなライフスタイルは、残業に依存しない働き方が大きく影響していると思います。職場環境、また、働く側本人の意識どちらも、労働時間をダラダラ延長するアイデア自体を持っていないように感じます。夕方5時、6時台に職場を出て帰宅したなら、食事を済ませたあともまだ時間があります。その日一日が仕事だけで終わらない毎日が続くのです。

今日はこれから何をしようか。

そんな積極的な気持ちが自然と生まれる社会環境。心にも身体にも優しい社会の仕組み。
日々の暮らしを楽しみ、一日一日を大事に暮らす、生きる。人の自然な姿がそこにある気がします。私がフィンランドの人たちの生活を間近に見て、素晴らしいと感じたことのひとつです。

イースター フィンランドの森から
息子が保育園で作ったイースターの飾りです。
さて、3月、4月といえば、復活祭の時期でもあります。フィンランド語ではPääsiäinen パーシアイネンと言います。キリスト復活のお祝いであることから、卵やひよこを模った飾りやイラストが街中のあちこちで見られます。
フィンランド人にとっては、クリスマスと同じように宗教的に重要な行事で、家族で過ごす大切な時間です。イースターには、クリスマス前に行われるPikkujoulu(ピックヨウル)のような友達との集まりが特にないこともあって、家庭でのイースターのすごし方を体験する機会がなく残念でしたが、カラフルに彩られた街の様子は、春の到来を喜ぶ気持ちに溢れています。

イースターの食卓には羊肉、Mämmi(マンミ)と呼ばれるライ麦から作られるデザートや、Kulitsa(クリーチ)というパンなどが並びます。このマンミ、いつか食べてみたいと思いつつも、機会を見送るうちに食べずに帰国してしまいました。黒い見た目にちょっと抵抗感があったのです。毎年春になるとスーパーで売られているパッケージはどのメーカーのものも大きいことから、マンミはフィンランド家庭では復活祭定番のデザートなんですね。

では、マンミという黒い食べ物の話題に続けて、フィンランドで知ったその他の黒い食べ物を紹介しましょう。

まずは、Lakritsi(ラクリッツィ)というリコリス菓子。黒いグミのような食感の、くせのある風味のキャンディです。その独特の風味からもちろん好まない人もいますが、ムーミンや可愛い動物の子供向けのパッケージに入った物もあって、フィンランド人は子供も大人もキャンディの一種類として食べます。そしてラクリッツィを更に強烈にしたものがSalmiakki(サルミアッキ)というキャンディ。ご存知の方も多いのではないでしょうか。ラクリッツィの味をひときわ強めたような、そして更にアンモニア臭が加わるその風味は慣れない人は顔を歪めるほどです。ところが、サルミアッキ味のアイスクリームやウォッカもあるくらい、フィンランドでは愛されている味です。

Lakritsi ラクリッツィ フィンランドの森から
Lakritsi(ラクリッツィ)のパッケージ。可愛いパンダさんキャラクターで子供も好きにしちゃう?
Salmiakki サルミアッキ フィンランドの森から
Salmiakki サルミアッキ
フィンランドを旅した人なら必ず目にするこのチェック柄
Salmiakki gelato フィンランドの森から
サルミアッキ味のアイスクリーム。黒!

そして、もう一つの黒い食べ物はタンペレ名物、Mustamakkara(ムスタマッカラ、Musta=黒い+makkara=ソーセージ)です。豚の血を使って作るために黒くなるのです。フランスならブダン・ノワールとして知られていますね。リンゴンベリーのジャムを添えて、牛乳を飲みながら食べるのがフィンランド流です。慣れないと見た目はドキッとしますが、鉄分を多く含む美味しいシーセージで、タンペレ暮らしの我が家の食卓にも時折登場したものです。

Mustamakkara フィンランドの森から
Mustamakkara ムスタマッカラ

Kalamarkkinat カラマルッキナット フィンランドの森から
魚市 Kalamarkkinat カラマルッキナット

タンペレと言えば、毎年春と秋にKalamarkkinat(カラマルッキナット)という魚の市が開かれます。開催日が近くなると、案内の貼り紙を街で目にするようになり、季節の移り変わりを伝えてくれました。

その土地それぞれで愛される味があります。目で見て、驚いたり、不思議に感じたり、時には抵抗感を覚えることもありましたが、その時、その場所で恵まれたものを試して、楽しみながらタンペレで暮らしていました。
常に大自然が身近にあり、季節は巡り、行事が繰り返される。当たり前の、そして一時も同じことのない貴重な毎日。日々を丁寧に暮らし、自然からエネルギーを分けてもらいながら自然とともに生きるフィンランドの人々。そしてその暮らし方。私がフィンランドを好きになった理由がそこにあります。

草稿: カハヴィラアムリ Kahvila Amuri, 亮子
編集 ・ライティング: LAMPIONAIO, Etsuko

Kalamarkkinat フィンランドの森から
魚市「Kalamarkkinat カラマルッキナット」の屋台

「白夜のタンゴ」の上映会はお申し込み多数で満席になりました

明日、3/8(水)開催の”フィンランドの森から”­ 映画上映会「白夜のタンゴ」。
すでに参加の申し込みを多数いただき、満席となっております。ありがとうございます!

これから申し込みを予定されていた皆さま、ごめんなさい。またの機会に!

ただし、キャンセル待ちは受け付けております。フィン森のMeetupからお願いします。
もし、キャンセルが出ましたらご案内いたします。

白夜のタンゴ

「白夜のタンゴ」、見に行こうよ

「タンゴの起源には色々な説がある。アルゼンチンやウルグアイがそれを主張するが、実は。。。」という言葉から映画は始まります。フィンランドの森、馬、狼、湖畔のダンスホールなどなどのモノクロ写真を背景に、タンゴの調べが聞こえてきます。

おっとっと、あんまり書くとネタばらしになってしまいますね。
この続きは本編をご覧くださいませ。

上映会の準備は着々と進んでいます。
水曜の夜は早めに用事を済ませて、谷中のカフェで映画を見よう!
あなたのお越しをお待ちしています。

〜映画上映会「白夜のタンゴ」 by フィンランドの森から @ コーツトカフェ〜

◇ 日時:2017年3月8日(水)
  19:00 会場
  20:00 スタート(*映画本編 83分)
  〜21:30頃 終映予定
◇ 会場:コーツトカフェ プラス ショップ
 (東京都 台東区 谷中2-1-11)
◇ 料金:1,000円 + メニューからワンオーダー / 1人

⇒ 詳細と参加申し込みははコチラから

白夜のタンゴ
白夜の土地で歌われるタンゴは、異なる味わいですよ。

オーロラ フィンランドの森から

手芸の国、サウナの国

2月から3月にかけてのフィンランド。
春に向かって少しずつ日照時間が長くなってはくるものの、昼間の時間はまだまだ短く、雪の日が続くことも多い時期です。長い時間を家の中で楽しく過ごすためでしょう、フィンランドでは手芸がとても盛んです。
ブーツの中にはみんな必ずと言っていいほど、毛糸の靴下を履きます。例えば、その靴下を手編みで作るのです。編み物以外にも羊毛フェルトやかぎ針編み、機織りなども人気があります。

ルイユ Ryijy フィンランドの森から
ルイユ Ryijy
同系色の毛糸のグラデーションで花の立体感を表現してみました。
市販のキットを使いましたが、素敵な仕上がりでしょう?
様々なヴァリエーションが広がる手芸の中でも特別な一つを挙げるなら、Ryijy(ルイユ)という毛糸を使った織り物に決まりです。友達の家に遊びに行った時、壁に飾られたルイユにひと目惚れしたのです。色とりどりの長い毛糸が麻に織り込まれ、毛糸の暖かさがルイユならではの優しい雰囲気を醸し出しています。

早速自分でも作り始めました。ルイユのサイズは多様で、大きいものは一辺が1、2メートルというものもありますが、私はまず一辺が30センチくらいのものから挑戦しました。一度始めるとその楽しさに夢中になり、どんどん進めたくなります。でも、時間には限りがあります。小さい子供が起きている時間には集中できませんから、子供のお昼寝中にひらすら織っていました。ルイユを作る家での定位置は、太陽の光と積もった雪の明るさが差し込むキッチンでした。窓のカーテンを開き、目が疲れると眺めた雪が舞う庭先の景色が今でも昨日のことのように目に浮かびます。

ルイユ フィンランドの森から
ルイユ Ryijy
手芸と言えばここ!という手芸店、Taito Shopには何度も通いました。手作りのための素材や材料がずらりと並び、手芸好きには天国のような場所です。その関連施設でVerkaranta(ヴェルカランタ)という工房があり、自分の作りたい物を選んで講師に教えてもらうこともできます。私は子供たちが保育園に通っている時間、時々この工房で幸せな趣味の時間を過ごしました。

さて、フィンランドと言えば、サウナですね。熱した石に水をかけ、その蒸気で室内温度を上げて体を温めます。サウナには季節を問わず入りますが、真冬には健康法の一つとしてAvantouinti(アヴァントウインティ)と呼ばれる寒中水泳(!)を楽しむことも珍しくありません。湖畔にあるサウナで体をしっかり温め、湖の氷を割って作った穴に入るのです。日本ではヒートショックなどと言って急激な寒暖の差にはネガティヴな考えを持つこともありますが、フィンランドでは血行を良くして体調を整える効果があると考えられています。イメージ写真はラウハニエミサウナのサイトでどうぞ。

Rauhaniemen Kansankylpylä(ラウハニエミサウナ)はタンペレにある公共サウナで、一年を通して湖に入ることができます。私は寒中水泳は体験したことはありませんが、ここで真夏にサウナに入り、その後湖で泳ぎました。ポカポカの体を湖の冷たい水が冷やしてくれて、本当に気持ち良く、フィンランドらしい思い出の一つです。タンペレに行く期間があれば、是非体験してみてください。

かまくらと子供達 フィンランドの森から
子供たちとかまくら作り
3月になると雪解けが始まります。年によって気温の変化はまちまちで、3月下旬にこんなかまくらを作った年もありました。フィンランドの雪は水分が少ないなので、手のひらで固めるのも難しいパウダースノー。そのサラサラの雪で特大の雪だるまを作ったりもしました。雪景色のアパートの庭で楽しんだ子供たちとのいい思い出です。
雪だるま作り、そり遊び、スケートなど、小さい子供たちが楽しめるアクティビティがたくさんあるのもフィンランドの冬の魅力です。

雪だるま フィンランドの森から
庭で雪だるま作り
子供の膝の高さまで積もった雪の上でそり遊び。たっぷり積もった雪の上を歩いたり、真っ新な雪の上に寝転んで人の形を作ってみたり…
雪との遊び方はたくさんあります!
スケートリンク フィンランドの森から
タンペレの住まいの近所の陸上競技場を利用したスケートリンクです。
気温が氷点下になると水を撒いてリンクに模様替え。
いつでも誰でも自由に滑れます。

Laskiaispulla フィンランドの森から
ラスキアイスプッラ Laskiaispulla
ちょうど2月から3月にかけて、イースターの7週間前に食べられるLaskiaispulla(ラスキアイスプッラ)と呼ばれる菓子パンがあります。イースターは年によって日にちが異なるため、ラスキアイスプッラを食べる日もその年によって違います。イースターの7週間前のこの日、フィンランドでは丘をソリで滑り降り、ラスキアイスプッラを食べ、豆のスープを飲む習慣があります。
Pulla(プッラ)とは、フィンランドではコーヒーと一緒に食べるパン、日本的に表現すれば菓子パンの総称で、生地には、ほぼ外れることなくカルダモンが入っています。ラスキアイスプッラは、そのカルダモン入りの生地を丸めて焼き上げ、上下半分に切って中にフィリングを詰めます。フィリングには2種類あって、一つはアーモンドペーストとホイップクリーム、もう一つはジャムとホイップクリームです。コーヒーによく合うパンです。大人も子供も大好きなプッラです。

雪解け前のフィンランドの様子を紹介していたら、プッラとコーヒーが恋しくなりました。

草稿: カハヴィラアムリ Kahvila Amuri, 亮子
編集 ・ライティング: LAMPIONAIO, Etsuko

オーロラ フィンランドの森から
ラップランドで見られることが多いオーロラですが、南フィンランドのタンペレでも何度か見られました。
フィンランドの森から

映画上映会「白夜のタンゴ」 by フィンランドの森から @ コーツトカフェ

白夜のタンゴ

2017年3月の “フィンランドの森から(通称:フィン森)”では 、
映画上映会を行います!

いくつかの候補から、今回選んだ映画は…
「白夜のタンゴ」 (原題:Mittsommernachtstango)
公式HP
83分カラー / ドイツ、フィンランド、アルゼンチン / 2013年
映画配給・写真提供:トレノバ

北欧、白夜のフィンランドが舞台のちょっと不思議な音楽&ロードムービーです。アルゼンチンの国民的音楽であるはずの「タンゴ」の起源は、な、なんと!北の果ての国フィンランド、うーん?それが本当かどうかは映画を見てのお楽しみ。

自然豊かなフィンランドの景色を背景に、アルゼンチンからの旅人が出会うシャイで寡黙なフィンランド人たち、そして彼らの暮らし方もこの映画の見所のひとつです。ラテン気質のタンゴミュージシャンたちと、のんびりユーモラスなフィンランド人との掛け合いもおもしろそう。フィンランドならではの、移動式サウナも登場します。バンドネオンの音色とともに、旅しようよ!

◇ 日時:2017年3月8日(水)
  19:00 会場
  20:00 スタート(*映画本編 83分)
  〜21:30頃 終映予定

◇ 会場:コーツトカフェ プラス ショップ
 (東京都 台東区 谷中2-1-11)

◇ 料金:1,000円 + メニューからワンオーダー / 1人

*映画が終わったら、飲みながら、おしゃべりしながら、ゆったりひと時をお過ごし下さい。

水曜日の夜は、早めに用事を終えて、
ご参加ください。
申し込みは、コチラ から
(Meetupのサイトへ移動します)。

あなたの”フィン森”へのジョインと、
イベントへのご参加をお待ちしています!

ご質問やお問い合わせは、
運営:ランピオナイオ
へお願いします。

白夜のタンゴ
フィンランドには湖と森が本当に多い。

白夜のタンゴ
アルゼンチンからやってきたミュージシャンたち。

白夜のタンゴ

フィンランドの人たちも歌います。

白夜のタンゴ

フィンランドのチャールズ・ブロンソン!?ではありません(笑)。

フィンランドの森から

“フィン森” 映画上映会が決定しました!


あなたは映画を見ましたか?

最近は映画館に行かなくなったなぁ…

とか

時間が無いんだよね

見たい時にタイミングが合わないんだ

などの言葉が、聞こえてきました。

うん、それならば、映画を見る機会をつくろうよ!

ということで、
2017年初回の “フィンランドの森から(通称:フィン森)”では 、
映画上映会を行います!

いくつかの候補から、今回選んだ映画は…
「白夜のタンゴ」

北欧、白夜のフィンランドが舞台のちょっと不思議な音楽&ロードムービーです。アルゼンチンの国民的音楽であるはずの「タンゴ」の起源は、な、なんと!北の果ての国フィンランド、うーん?それが本当かどうかは映画を見てのお楽しみ。

自然豊かなフィンランドの景色を背景に、アルゼンチンからの旅人が出会うシャイで寡黙なフィンランド人たち、そして彼らの暮らし方もこの映画の見所のひとつです。ラテン気質のタンゴミュージシャンたちと、のんびりユーモラスなフィンランド人との掛け合いもおもしろそう。フィンランドならではの、移動式サウナも登場します。バンドネオンの音色とともに、旅しようよ!

◇ 日時:2017年3月8日(水)19:00 会場 → 20:00 スタート
  *映画本編 83分 〜21:30頃 終映予定

◇ 会場:コーツトカフェ プラス ショップ
 (東京都 台東区 谷中2-1-11)

◇ 料金:1,000円 + メニューからワンオーダー / 1人

*映画が終わったら、飲みながら、おしゃべりしながら、ゆったりひと時をお過ごし下さい。

水曜日の夜は、早めに用事を終えて、
ふらっと、見に来てください。
申し込みはわすれずに、コチラ から、または ▽ ロゴをクリック
(Meetupのサイトへ移動します)。

フィンランドの森から

あなたの”フィン森”へのジョインと、
イベントへのご参加をお待ちしています!

ご質問やお問い合わせは、
運営:ランピオナイオ
へお願いします。

「白夜のタンゴ」
原題:Mittsommernachtstango(2013)
映画配給・写真提供:トレノバ

白夜のタンゴ
フィンランドには湖と森が本当に多い。

白夜のタンゴ
アルゼンチンからやってきたミュージシャンたち。

白夜のタンゴ

フィンランドの人たちもが歌います。

白夜のタンゴ

フィンランドのチャールズ・ブロンソンではありません(笑)。

凍った湖上の犬ぞり

氷点下の世界

今回は、1月から2月にかけてのフィンランドの様子をご紹介します。

盛大なクリスマスのお祝いが終わると、年越しがやってきます。街の中心部でカウントダウンが行われ花火が上がり活気がありますが、年明けは日本のような賑やかさはなく、2日、3日から仕事始めの人も多く、静かに日常生活が戻ってきます。

氷点下の気温が続きますから、雪の日が多く、積雪量が増えます。日によっては樹氷がきれいに見られ、まさに一面の銀世界です。

雪が降り積もった時でも、早朝から除雪車が街中を走り回り、大雪だからといって公共機関が止まることはなく、日常生活が滞ることはありません。さすが雪国、どんな寒さにも大雪にも負けない仕組みができていることに感心します。

タンペレでのマイホームは集合住宅でした。外気温が下がると自動的に建物全体が暖房で暖められます。外がどんなに冷えても室内の温度は一定に保たれるので、とても快適です。朝目覚めて、「寒い、寒い」と言いながらストーブをつける必要はありません。窓ガラスも2〜3重構造になっていて断熱性が高く、室内はとても暖かいため、薄着でいられます。冬の寒い時期は、日本でも温暖な地方より雪国の室内の方が快適なものですね。

息子が初めて保育園に通い始めた1月のある日、窓の外に取り付けられている温度計を見ると、なんとマイナス25度!外に出るのは気がひける気温です。恐る恐る外へ出てみると、氷点下と一口に言っても、慣れたマイナス10度とマイナス25度との差は歴然、外気に触れている肌に痛みのようなものを感じます。鼻の中の水分が凍ってしまうからでしょう、むずむずしてきます。

さすがにマイナス25度にもなると、保育園でも子供たちは室内で過ごしますが、マイナス10度くらいまでなら、スキーウェアを着て、毛糸の手袋の上にスキーなどに使う厚手のグローブ、雪用のブーツでしっかり防寒して、外で遊びます。防寒着から覗くピンクのほっぺの子供たちは寒くてもいつも元気いっぱいです。

フィンランドの凍った湖を散歩
子供たちと凍った湖上を散歩
冬、外に出る時はいつでもこのスタイルです。

気温の低い、晴れた日に、マットやラグをパンパンと叩いて日なたに干す光景をよく目にしました。

氷点下の温度は殺菌作用があるから、晴れた寒い日に干すのよ。

と、フィンランドの友達が教えてくれました。
低温を活用する生活の知恵も寒い国の特徴を表していると思いませんか?

では、気温の低さを象徴するエピソードをもう一つ。

フィンランドの凍った湖
初めて湖の氷に乗った時

この時期は湖の氷も日増しに厚くなり、氷の上を歩けるくらいの厚さになります。そんなある日、私にも湖の上を歩くチャンスが訪れました。当時、1歳だった長男はベビーカーで昼寝中。まず自分が氷の上に乗って割れないことを確認して、ベビーカーも氷の上に乗せました。あたりには、臆せず湖の真ん中を歩く人々もいます。
氷は割れません!
こんなに大量の水をカチコチに凍らせてしまうフィンランドの冬の寒さに驚ながらも、凍った湖を歩くワクワク感をはっきりと覚えています。

凍った湖を散歩する人と犬
こんなふうに氷の上を歩いたり、氷に穴を開けて釣りをしたりと、フィンランドの冬ならではのアクティビティーをたくさんの人が楽しみます。

私の暮らしていたタンペレの北側にはNäsijärvi(ナシヤルビ)という大きな湖があって、週末には湖を歩くイベントが行われます。岸から数キロ離れたゴール地点に向かって思い思いの散歩を楽しむのです。氷点下とはいえ、太陽の下を一生懸命歩くととてもいい運動になります。ゴール近くに張られたテントで売られるフィンランドのソーセージ Makkara(マッカラ)やドーナツ、コーヒーをお供に、ポカポカに温まった体を休め、この時期にしか見ることのできない湖の中心部からの雪景色を満喫します。

この時期に食べられる焼き菓子で、ルーネベリのタルトという意味の「Runebergin torttu」を紹介しましょう。ルーネベリとはJohan Ludvig Lunebergという19世紀の詩人で、フィンランド国家の作詞をしたことで知られています。ルーネベリの妻が甘い物好きの夫のために作ったのがこのタルト。彼の誕生日の2月5日頃になるとパン屋さんやスーパーマーケットでもたくさん販売され、フィンランド人なら誰もが知っている、みんなが大好きな定番のお菓子です。マフィンのような見かけですが、バターとアーモンドの風味豊かなしっとりとした生地で、上にラズベリージャムが飾られているのが特徴です。

ルーネベリのタルト Runebergin Torttu
ルーネベリのタルト Runebergin Torttu

毎年決まった時期に恒例のお菓子を食べるフィンランド。毎年同じ行事があり、その時期には同じ食べ物がお店に並びます。もちろん日本でも季節に沿った昔からの和菓子がありますが、それ以外に必ずその時に流行っているスイーツがありますね。そんな日本と比べ、食べ物の流行り廃りは顕著ではありません。いつも決まったものを食べるフィンランド。それがフィンランドのスタイルなんだと思います。

比較的温暖な地域で生まれ育った日本人にとって、寒さの厳しいこの時期のフィンランドには新鮮で楽しいものが盛り沢山!

草稿: カハヴィラアムリ Kahvila Amuri, 亮子
編集 ・ライティング: LAMPIONAIO, Etsuko

トントゥ

フィンランドのクリスマスと暮らし

フィンランド語で12月はクリスマス月「ヨウルクウ Joulukuu(Joulu=クリスマス+kuu=月)と呼ぶとおり、12月はクリスマス一色になります。

冬至に向かって日照時間がかなり短くなり、私の住んでいたタンペレという南の街でも、日が出てようやく明るくなるのが午前10時、午後3時には早くも日没です。ところが、真っ白な雪が積もると街の景色が明るくなり、行き交う人たちの気分は一気に華やぎます。

イルミネーションや室内でのキャンドルの明かりをみんな大切にして、クリスマスの訪れを楽しみに待ちます。そして、小さいクリスマス「ピックヨウル Pikkujoulu (Pikku=小さい+joulu=クリスマス)」と呼ばれる友達や職場の仲間が集まってのクリスマス会もあちこちで開かれ始めます。

友達の家にピックヨウル(クリスマス会)に招かれた時のこと、キッチンで料理や片付けをする友達夫婦の様子がとても新鮮でした。夫はキッチンのオマケではありません。パーティの日の晴れ舞台だけに登場したふうでもありません。普段から自然に二人で立ち働いていることが、すんなりとわかりました。

できる人ができる事をできる時にやる。

そんなフィンランドの暮らし。
共働き家庭だから、だけが理由ではないかもしれません。男女問わず、既成の役割イメージにとらわれることなく、家事や育児もパートナー同士で協力し合い、省けることは省いて、子供たちとの時間、家族で過ごす時間を、シンプルな方法で大切にしています。できる人がやるうちに、どちらかに負担が片寄ってしまうこともありません。

料理教室でも紹介しているフィンランドのミルク粥「リーシプーロ Riisipuuro」も、サーモンスープ「ロヒケイット Lohikeitto」も、子供のいるフィンランド人男性から教わりました。男の人も日々の暮らしの中で料理をしているという証拠ですね。

クリスマスイヴこそ内輪の身内だけで過ごしますが、ピックヨウルが続くクリスマス休暇には、「もう一人の親」に会いに行く子供たちもいます。フィンランドは離婚率が高いのです。片親と暮らしている子供も少なくありません。親にはすでに新しいパートナーがいたり、そのパートナーとの間に生まれた子供も一緒に住んでいる場合も。複雑な環境ではありますが、離れていてもお互いの存在を大切にし合い、クリスマスという特別な時期に集まって同じ時間を共にします。

大きな街ではクリスマスパレードが行われ、街の中心部では大きなツリーにイルミネーションが灯されます。寒く暗い時間が長い国の冬は華やかな季節でもあるのです。
クリスマスマーケットでは様々な食材やクリスマスらしい手工芸品の販売が始まり、街全体がクリスマスムードに包まれます。
各家庭のクリスマスツリーは本物のモミの木に飾り付けをし、1月6日まで飾ります。

タンペレのクリスマスツリー
タンペレのクリスマスツリー photo by Kahvila Amuri

日本の大晦日さながら、クリスマスイブの午後になるとほとんどのお店が閉まり、公共の交通機関も止まり、街が静まり返ります。人々は教会のミサに参列したり、自宅やコテージでクリスマスサウナに入ったりして大切な家族との時間を過ごします。子供たちが楽しみにしているのは、やはりサンタクロースからのプレゼント。フィンランドのサンタさんは子供たちが起きている時間に玄関から入って来て、

「良い子はいるかな?」

と言って、プレゼントを渡してくれます。

サンタクロースはラップランドの山奥でトナカイやクリスマストントゥと呼ばれる妖精の小人たちと一緒に生活していると言われています。トントゥ tonttu は日頃からサンタさんの手伝いをしていて、子供たちが良い子でいるか物陰からそっと見守ったり、クリスマスプレゼントの準備をしてくれてるんですよ。

トントゥ
サンタクロースの手伝いをする森の妖精「トントゥ tonttu」photo by Kahvila Amuri

フィンランドのクリスマス料理もここでご紹介しましょう。

ピパルカック カハビラアムリ Piparkakku Kahvilaamuri
ピパルカック @ カハビラアムリ ポップアップ料理教室
塩漬けにした豚肉にスパイスをまぶしてオーブンで焼き上げたクリスマスハム「ヨウルキンク Joulukinkku」、赤かぶや人参を使った彩り鮮やかなサラダ「ロッソリ Rosolli」、ラーティッコ Laatikkoと呼ばれる根菜類のキャセロール、ダークシロップやスパイスを使ったほんのり甘いクリスマスパン「ヨウルリンプ Joululimppu」などです。

コーヒータイムにはジンジャーブレッド「ピパルカック Piparkakku」や、クリスマスパイ「ヨウルトルトゥ Joulutorttu」を楽しみます。

そして、飲み物で欠かせないのがシナモンやカルダモンの風味豊かなホットワイン「グロギ Glögi」。スライスアーモンドやレーズンを入れて飲むのも特徴です。大人はウォッカ入りのグロギを飲みますが、子供たちも楽しめるように、ノンアルコールで仕上げることもあります。ウォッカ入りのグロギは体がとても温まり、寒い国の冬の飲み物らしさを感じます。

また、クリスマスの朝によく食べられるのが「リーシプーロ Riisipuuro」というミルク粥です。お米を牛乳でじっくり1時間程煮て、プルーンなどのドライフルーツで作った甘いシロップをかけて頂きます。

ヨウルキンク Joulukinkku
クリスマスハム「ヨウルキンク Joulukinkku by Kahvila Amuri
クリスマス料理は全て手作りする家庭もありますが、ハムもサラダもキャセロールも、市場やスーパーマーケットでも売られていますから、思い思いの準備の仕方でクリスマスを迎えられるのです。

普段の食事だけでなく暮らし全てに言えることですが、何に時間をかけるか、何を大切にするかは、家庭によってそれぞれです。「こうあらねばならぬ」を基準にして暮らしている人たちは私の周りにはいなかったように思います。

スーパーマーケットには便利なお惣菜がたくさん揃っていて、忙しい平日は出来合いのものを利用したり、簡単なスープを作る程度で食事の準備の負担を軽くして、時間のある週末にしっかりと料理するというような、リズム感あるスタイルを自然に取り入れています。

できる人ができる事をできる時にやる。

共働きで忙しくても、料理でも家事でも、できるときにはするのは楽しいこと。難しいときには無理せず簡単に。

家族や友達と和やかな時間を過ごす一年で最も大切なお祝い、クリスマスは26日まで続きます。

タンペレのクリスマスパレード
タンペレのクリスマスパレード photo by Kahvila Amuri

草稿: カハヴィラアムリ Kahvila Amuri, 亮子
編集 ・ライティング: LAMPIONAIO, Etsuko