フィンランドの定番

どんな国でも、その国をイメージするものがあるもの。
さて、フィンランドの食べ物は…?

亮子さんが紹介してくれたものもありますが、カレリアパイ(karjalanpiirakka)とエビのオープンサンド(katkarapuleipä)は定番の食べ物の代表格でしょう。

イタリア、フランス、スペイン、マグレブ諸国、中近東の国々などの地中海地域の華やかな食材のバリーエーションと比べたら、フィンランドやその他の北欧の国々の食べ物はおとなしく映りますが、いつでも安心の定番があるのです。
あれかこれかと選べる楽しみも嬉しい一方、「これで充分」と感じる幸せもまた価値があります。

フィンランドの当たり前の、ドイツパンよりもずっとずっとすーっぱいライ麦パン。
日本の炊きたての白いご飯のおいしさが外国ではなかなか味わえないのと同じように、フィンランドのライ麦パンもフィンランドにいてこそ。

それでも。
日本に持って帰って冷凍しておいて、温め直してお刺身を乗せて食べるととってもおいしい。ライ麦の酸味がお醤油、わさびともバッチリ。:)

ランチを楽しみ、同じカフェ・レストランのホールを通りかかると、ちょっとドレスアップした人たちが集まってランチパーティをしているらしい。 そのテーブルに並ぶメニューは、オープンサンド2種類とエッグバターをたっぷり乗せたカレリアパイ。 ハレの日もいつもと同じ。 同じメニューで飽きる? いいえ。定番は、無駄なくそして確実においしい。 セクトデザインのランプみたい。 そうよ、フィンランドで生まれたんだから。 #karjalanpiirakka #カレリアパイ #katkarapuleipä #エビのオープンサンド #フィンランド #セクトデザイン #sectodesign

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小エビのオープンサンドはフィンランドの食べ物として定番の一品。ランチにぴったり。マヨネーズやゆで卵の量やえび、生野菜の配合はお店、作り手によって様々。 パンとパンで挟まない「オープン」サンドというスタイルも特徴。フィンランドだけでなく、デンマークあたりの国々まで、このオープンサンドは、ナイフとフォークで、できる限り具を崩さないように、そして均等に分けて、“一生懸命に丁寧に”切り分けて口にへ運ぶ。そこまでがオープンサンドの食べ方。 #katkarapuleipä #エビのオープンサンド #voileipa #フィンランド

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セクトデザイン ペンダント ランピオナイオ

フィンランドの森 2018 in 函館 延長決定!

7/29(日) までの予定だった北海道でのセクトデザインのランプの展示を、好評につき、延長することになりました。

8月下旬頃まで @ カフェマルセン in 函館

展示の最終日は、あらためてご案内します。

「見逃したぁ…」と思っていたあなた、「今知った!」みなさん、セクトデザインのランプをカフェマルセンで涼しいティータイムを楽しみながらどうぞ。

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フィンランドの森から 2018 函館 ランピオナイオ

フィンランドの森から 2018 in 函館

フィンランドの森は、2018年この夏、北海道の南端、函館にやって来ました!

函館駅から徒歩圏の旧市街にあるカフェ「Deli&Cafe Marusen」を、セクトデザインのランプでインテリアをリフレッシュ。
2018年7月3日(火) 〜29日(日) まで、天井の高い気持ちの良い空間でセクトデザインのランプをご覧いただけます。

2018年8月下旬頃まで展示を延長することになりました。2018/7/29 更新

Secto 4201 ウォルナット, バーチ, Secto 4200 ブラック セクトデザイン ランピオナイオ
カフェマルセンのカウンター上に。左からSecto 4201 ウォルナット, Secto 4200 ブラック, Secto 4201 バーチ

Puncto 4203 バーチ, ホワイト セクトデザイン ランピオナイオ
カフェマルセンの道に面した窓には Puncto 4203 バーチとホワイトが並んでいます。

Octo 4240 ホワイト, Victo 4250 ウォルナット, Secto 4200 ブラック セクトデザイン ランピオナイオ
カフェマルセンの店内の古い扉を活かしたテーブル上にはOcto 4240 ホワイト, Victo 4250 ウォルナット, Secto 4200 ブラックをまとめて。

Deli&Cafe Marusen はココ

フィンランドの森から

効率的な住まいの仕掛けとシェア設備

フィンランドの人たちはどんな家に暮らしているでしょう?
森の中のログハウスをイメージしますか?それは、住宅というより、どちらかというと伝統的な夏のコテージに当てはまります。

フィンランドの森から
郊外に新しく建てられた住宅
私が滞在していたヘルシンキ中心部の住宅のほとんどは kerrostalo(ケッロスタロ)と呼ばれる集合住宅です。規制があるエリアでは、その多くは5階建て程度の低層アパートです。歴史ある建築の高さに合わせているのです。
少し郊外へ足を伸ばすと、テラスハウス(Rivitalo リヴィタロ)や、戸建住宅が多く建ち並びます。

古く歴史ある建築を修復しながら使い続けているアパートから、近現代の都会的なスタイルの家まで様々ですが、家の中に目を向けるとこの土地ならではの暮らし方について、楽しい発見がたくさんありました。

フィンランド発 機能キッチン

とても使い勝手がよく、フィンランドの家の個性を感じたのがキッチンです。

フィンランドの森から
水切りと収納が一体になったキャビネット
特に流し台の上に設置された、キャビネット一体型の水切りはシンプルで合理的だと思いました。
皿洗いをして水切り棚に置いておけばそのまま乾燥ができ、扉を閉めれば中身が見えずすっきり。突然の来客があっても安心です。

もともとはスペースの節約のために考案されたものだそうですが、いつでも整頓された状態を保ち、気持ちよく過ごせる場所づくりのための工夫だと感じました。フィンランド人自身も「これは便利でしょう!」と自国発のアイディアとして誇りにしているものの一つでもあります。
日本のシステムキッチンでも見かけることがありますが、日本の場合は、仕掛けが繊細すぎる感じがあります。少しくらい雑な使い方をしても壊れそうもない丈夫さはフィンランドの物づくりの特徴の一つかもしれません。

そのほかにもキッチンの中は様々な仕掛けが組み込まれていて、楽しい作りになっています。

フィンランドの森から
スライド式のまな板
カトラリーを収納する引き出しの上にはスライド式のまな板が造り付けられていて、簡単な作業台としても便利。ゴミ箱も足元のキャビネット扉と一体になって収納されているため、取り出しがスムーズです。

フィンランドの森から
収納されたパンのこね台
毎日の生活に欠かせないパンや菓子パン(pulla プッラ)を作る際に使う、生地のこね台まで用意されています。フィンランドの人たちにとってなくてなならない身近な食べ物だと物語っていると思いませんか?残念なことに最近の住宅ではあまり見かけなくなったそうです。

作業する場所には余計なものは置きません。反対に、普段使いの道具はすぐに機能的に使えるようになっているのです。

この線引きを自然にできるからこそ実現する機能性が現れたキッチンです。

フラットな玄関

玄関にも気候にちなんだ特徴があります。
雪や雨に濡れたコートを室内に持ち込まないために、玄関には必ず上着用のコートハンガーが置かれています。家族の上着がずらっと並び、ニット帽やマフラー・手袋などの小物と一緒に収納しています。家に帰るとここで外の寒さにさよならをして、身軽に暖かい部屋へ飛び込むことができるのです。

外で必要なものは、外の近くに。これだけのことですが、軽快な暮らしが一歩近づきます。

また、フィンランドもで家の中では靴を脱ぐのが一般的ですが、玄関は日本のような段差はなくフラットです。ドアを開けて部屋に入るとカーペットが敷いてあり、そこで靴を脱ぎます。大まかにはこのカーペットの範囲が玄関に当たるものの、その境界は曖昧です。廊下に沿った長いカーペットの場合もあるので、具体的に靴を脱ぐ場所が分かりづらいこともあります。

日本のように段差や素材ではっきりと区別しないので、空間もおおらかに繋がっています。パーティーなどフォーマルな服の場面では靴は脱がずに土足OKだったりと、その感覚もフレキシブル。

バルコニーの鉢受け

フィンランドの森から
可動式ガラスで囲われたバルコニー(下階)
バルコニーはとても重要な居場所のひとつです。日本の多くの地域では洗濯物を外に干す場所としての機能もないがしろにできない暮らし方ですが、外干しの習慣がないフィンランドでは、バルコニーは、春夏には食事をしたり、ハンモックを吊るして昼寝をしたり、コーヒーを飲みながら新聞を読んだり…と存分に活用されます。日差しを楽しむチャンスがあれば、上着が必要な気温でも積極的にバルコニーで過ごします。
多くの家ではバルコニーを可動式のガラスで囲っています。雪が入り込まないようにするためでもあり、また、サンルームのようにして少しでも太陽に近い場所で長く過ごすための工夫です。

フィンランドの森から
造り付けの鉢受け
あちこちの住宅で手摺と一体になったプランターボックスを見かけます。各住戸に花を設えるための鉢受けが用意されていて、家の内側からも外側からも楽しむことができるようになっています。
建物によってデザインは様々で、一つ一つ小さな仕掛けですが、これが街の単位で用意されていることで、街並みを彩る大きな役割を果たしていることがとても素敵だと感じました。

アパートの共用設備と雪払いブラシ

フィンランドの森から
アパートの庭に設置されている共用物干し
フィンランドのアパートでは、共用設備が充実していると思います。住戸毎に割り当てられた倉庫スペースや屋内駐輪場の他、洗濯場、サウナなどが1階部分に付属しているのが普通です。
洗濯場には通常の洗濯機の他に乾燥機が付いていて、大きな流し台は自宅で洗うのが難しいカーペットや寝具などを洗濯する際に役立ちます。屋外にはそれらを干すための共用物干しも設置されています。

初めて住んだ学生用のアパートでは、サウナは週ごとに先着順で予約をするルールでした。また別の家では、住戸毎に週に1時間割り振られて使うことができました。
サウナは日々のリフレッシュのためだけでなく、友人とのコミュニケーションの場としても使われます。日本の温泉や銭湯とも少し違い、パーティーの場としても使うのです。フィンランドの人たちにとって、なくてはならない大切な、切っても切れない親密な設備なのです。

フィンランドの森から
玄関の雪払いブラシ
ささやかな共用道具もご紹介します。アパートの入口に置かれているブラシ「Rappuralli ラップラッリ」です。これは靴についた雪や泥を払うための置き型ブラシで、左右下3面の汚れを一度に落とすことができます。素っ気なく機能的な佇まいが、なんとも可愛らしいでしょう?

フィンランドの現在のお宅を垣間見るには、現地の不動産屋さんのホームページを覗いてみるのも面白いかもしれません。

カーペットを洗うための桟橋

フィンランドの森から
桟橋部分
市内にも住民でシェアする設備があります。mattolaituri マットライトゥリと呼ばれる公共のカーペット洗濯場です。マットライトゥリは「カーペットの桟橋」を意味します。よく散歩に出かけた Munkiniemi(ムンキニエミ)のカフェの名前もマットライトゥリでした。
「桟橋」のその名のとおり、洗い場は湖に浮かんでいて作業台と水を絞るための機械・乾かすための干し台などがセットになっています。

マットライトゥリ
湖へ突き出たマットライトゥリと、同名のカフェ
Google map より
ひと仕事終えたら隣のカフェで一息!という週末が夏の天気の良い日のアクティビティでもあるのです。

湖が生活のあらゆる場面に寄り添っていると感じさせる象徴的な場所でもあります。

草稿: まり子
編集・ライティング: LAMPIONAIO, Etsuko

ライフとランプ ランピオナイオ

フィンランドの森から 2017「ランプとライフ」@ パタゴニア 横浜・関内ストア

「衣食住」という言葉にも表されるように、私たちの暮らしには、着る物、食べ物、住む場所が必要です。
2017年秋のフィン森イベントは「ランプとライフ」。

じっと留まる場所だけを住むところと捉えなければ、「住」とは私たちが活動するさまざまな場所と言い換えることもできるでしょう。

そんな活動する私たちを包んでくれる心強いアウトドアブランドのパタゴニアさんのストアでイベントを開くんだから、「住む」ための道具のランプをテーマに、いつもよりも活動的な視点で迫ってみることにしました!

乞うご期待!
イベント内容はこちら ☞ で。

フィンランドで見つけた暮らし

お待たせしました。
フィンランドの暮らしをテーマに綴る新企画がまもなく始まります!

ヘルシンキで建築やデザインを学んだまり子さんが伝えてくれます。
そのテーマは…

  • 自然が身近なヘルシンキの暮らし
  • もの・時間を大切に使う暮らし
  • 効率的な住まいの仕掛けとシェア設備
  • コーヒーブレイクと季節の食べ物

どうぞお楽しみに!
フィンランドの森から

フィンランドの森から

いよいよ夏本番!

フィンランドの森から
夏至の頃の夜空
6月はフィンランド語で Kesäkuu(Kesä: 夏 + kuu: 月)と言います、まさに夏の月なのです。
3月の最終日曜日からサマータイムが始まり、6月の夏至に向かって日に日に日照時間が長くなり、真冬とは正反対の太陽が照り輝く眩しい季節に突入します。
私が住んでいたタンペレはフィンランド南部に位置するので完全な白夜にはなりませんが、それでも夜の11時頃まで空が明るいため、夕食の後に家族で森に散歩に出かけたり公園で遊んだりして、外での活動をたっぷり楽しんでいました。

フィンランドの森から
夏至の頃の22時半~23時過ぎの空。晴れた日は空の色が変わっていく様子を眺めるのも楽しい。

フィンランドの森から
コテージ滞在中に採れたベリーをバニラアイスと一緒に。
Marjapoimuri フィンランドの森から
ベリー摘みの道具「Marjapoimuri」

フィンランドの森から
当時3歳の息子。
美味しそうなベリーが採れた時には満面の笑みで写真を撮らせてくれました。
子供たちと森を歩いてまず見つけるのは、ベリー。どの森に行ってもたくさん収穫することができるのが、Mustikka(ムスティッカ=ビルベリー)です。地面から30センチほどの低木につく実なので、たくさん摘むのはかなり大変な作業です。そこでよく使われるのがMarjapoimuri(Marja: ベリー + poimuri: 摘む)という道具です。実と葉っぱが同時に採れてしまいますが、手で一粒ずつ採るのと比べれば、楽に収穫できます。

バケツいっぱいに収穫したあとは、葉を取り除いてジャムやジュースを作ります。
Vadelma(ラズベリー)もよく見かけるベリーで、子供たちも散歩途中によく食べていました。フィンランドではどこの森も

自然からの恵みはみんなで楽しむ。

というルールがあって、私有地だから立入禁止ということはありません。どの森に行ってどれだけベリーを摘んでもいいのです。

フィンランドの森から
当時1歳の娘。
自分たちで好きなように摘んで食べていました。
フィンランドの森から
コテージは湖畔にあります。
目の前が湖なので、ボートで釣りに行ったり、サウナでほってた体を湖の水で冷やすのに最適な環境です。

その他にも、夏を象徴する食べ物といえば、新じゃが、ザリガニ、えんどう豆などがあります。
新じゃがはディルと一緒に茹でると更に美味しさが増し、夏の食卓に欠かせない存在です。
ザリガニは湖で捕れ、好きな人はザリガニパーティーを楽しみます。日本人にとってのザリガニは「子供が夏に遊ぶ生き物」ですが、真っ赤に茹でられたフィンランドのザリガニは、エビ・カニが好きな人なら、きっと気に入る味わいです。

フィンランドの森から
いちご農園にて
ベリーの中でもいちごはこの時期、小さなパック入りだけでなく、大きな箱入りも売られていて、ジャムを作ったり、小分けにして冬のビタミン補給用に冷凍保存しておきます。フィンランドのいちごはまさに「自然そのままの味」です。日本のスーパーなどでは、“糖度何度”という表示をよく見かけますが、糖度で線引きをして取捨選択する感覚はフィンランド人は持ち合わせないのでしょう、とても酸っぱいいちごもあれば熟れて甘いものあり、自然の恵みをそのまま頂きます。
えんどう豆は屋外マーケットに行くと、さやに入ったままのものが山積みになって売られています。もちろん料理にも使いますが、生のまま食べるのがフィンランド流。さやから出しながらポリポリと公園のベンチなどで食べている人をよく見かけました。

フィンランドの学生は6月になると夏休みに入り、8月半ばの新学期までの約2ヶ月半の間、夏をたっぷり楽しみます。仕事をしていてもたいていの人は4週間程の休暇を取って、家族との時間、自然に親しむ時間を満喫します。4週間の休みを当たり前に取れる国、フィンランド。人生の中で仕事はほんの一部で、余暇を楽しむための時間もたっぷり持つ。そんなフィンランド流のライフスタイルは今の日本ではまだまだ馴染みませんが、人間の気持ちに寄り添った、自然で心地よい生き方だと感じます。

フィンランドの森から
湖畔で日光浴を楽しむ人々

さて、この季節に欠かせないことが、まだあります。日光浴です。子供たちと公園に遊びに行った時に、ビキニ姿で芝生に横たわる女性を初めて見た時は驚きましたが、日照時間の短い時間が続いた後は日差しが恋しくなるのは自然なことだったのです。ビキニは泳ぐためだけではありません。日を浴びるためでもあったのです。まだ肌寒い春先でも太陽が火をを出すとすぐにTシャツになる人がいるのも頷けます。夏の太陽を逃すわけがありません。一年分の日光を浴びるかのように日なたを好んで過ごすのです。

晴れて気持ちのいい日には、湖水浴にもよく出かけました。水温は夏でもそれほど上がらないので、ずっと水に浸かっているわけにはいきませんが、湖畔は子供たちには楽しさいっぱいの遊び場で、砂場遊びをしたり、浮き輪で浮かんでみたり、時には泳いでいる鴨を観察したりした物です。湿度が低いので、日なたがいくら暑くても、木陰に入るとすっと汗がひく気持ちの良さを懐かしく思い出します。大自然の中の木陰でほっとするひとときは、私の夏のお気に入りでした。

Kesämokki フィンランドの森から
この時期の爽やかな森と湖

夏至祭の頃には、多くの人々がKesämokki(サマーコテージ)での滞在を楽しみます。日本では別荘を持つことはあまり一般的ではありませんが、フィンランドではコテージやボートを持つことはそれほど特別なことでありません。友達のボートに乗せてもらったり、コテージに招いてもらうこともありました。そのコテージは豪華な別荘というよりは、あっさりした作りで自然に親しむための扉のようです。大変な準備をすることもなく、気の向くまま、余暇を自然の中で楽しめる環境も、ゆとりある休み方を支えていると思います。

Hauki フィンランドの森から
コテージ滞在中に釣れたHauki(パイク)

フィンランドの森から
Makkara(マッカラ=ソーセージ)をグリルで焼きながら、フィンランドを代表するビール、KARHU(カルフ=熊)を頂きます。
コテージでは、釣りやバーベキューを楽しむのが定番です。バーベキューに欠かせないものといえば、Makkara(マッカラ=ソーセージ)でしょう。炭火で焼いて屋外で食べるMakkara、ビール好きには最高のおつまみです。
そして、湖で釣れる代表的な魚は、Hauki(ハウキ=パイク)です。Marimekkoのティータオルに登場したり、子供たちが歌う歌にも登場するような誰もが知っている魚です。コテージでムニエルにして食べた時の味は忘れられません。大自然の中で自分たちが釣った魚を調理して頂くことができるなんて、他に変えがたい贅沢な経験です。またいつかそんな夏を過ごしたいものです。

夏のフィンランドは、太陽があり素晴らしい景色があり美味しい食べ物があり、仕事なんてしてる場合じゃありません。一年で最もいい時期は仕事を忘れて大切な人たちと充実した時間を過ごし、リフレッシュしてまた日常生活に戻る。合理的でもあり、心にも体にもあるべき姿です。

フィンランドの生活や食について6回にわたりお伝えしてきました。今回が最終回となります。
私の大好きなフィンランドの魅力が皆様にお伝えできていたら幸いです。
最後までお読み頂きありがとうございました。

草稿: カハヴィラアムリ Kahvila Amuri, 亮子
編集 ・ライティング: LAMPIONAIO, Etsuko

Vappu 2009 Tampere フィンランドの森から

待ちわびた春を迎える日「Vappu」のすごし方

Vappu 2009 Tampere フィンランドの森から
Vappu 2009
ゴールデンウィーク中の5月1日は労働者の祭典、メーデー。ヨーロッパでは夏の訪れを祝う日でもあり、フィンランドではVappu(ヴァップ)という、学生たちのお祭り日です。長く寒い冬を過ごした後、待ちかねた春の到来をお祝いし、学生に限らず、街全体がお祭りムードに包まれます。高校を卒業したばかりの面々は、記念にもらった白い帽子を被り、街に繰り出します。この白い帽子を被るのはその春の卒業生だけでありません。学生時代の帽子を毎年、Vappuには必ず被るという先輩世代もたくさんいます。街全体が一体となり、大きな盛り上がりを見せます。
Vappu 2009 Tampere フィンランドの森から
Vappu 2009
2009年のVappuの様子
この年はよく晴れていました。
Vappu 2009 Tampere フィンランドの森から
Vappu 2009

タンペレでは毎年、タンペレ工科大学の1年生がクレーンで吊ったゴンドラに乗り、川に沈められるという儀式(イベント?)があります。年によっては雨でかなり肌寒いVappuを迎える場合もありますが、気温がどうあれイベントは行われます。この川にはNäsijärvi(ナシ湖)の水が注いでいてます。氷が解けたばかりの湖の水ですから、相当冷たいはずです。でも学生たちはそんなことお構いなし。酒瓶片手の学生もいれば、ほとんど裸の学生もいて、賑やかというよりは、馬鹿騒ぎと表す方がふさわしいでしょう。それを見物する大人たちも、「また馬鹿なことをやって…」と呆れたり、不快な気分に陥るのではなく、「今年もやってるね〜。」といったおおらかな反応で、自分たちは自分たちでヴァップを楽しむといった様子です。
楽しむ時も自分は自分、他人は他人という境界を明確に持っているのかもしれません。岸辺でピクニックをしながら春の日差しを浴び、歓迎ムードさえ伴って学生たちの騒ぎを見守ります。学生たちは盛り上げ役とも言えるのでしょうね。

Vappu 2010 Tampere フィンランドの森から
Vappu 2010
この年の Vappu は雨上がりのかなり気温が低い日でした。
子供に毛糸の帽子を被らせて出かけたほどの寒さでしたが、イベントの内容は毎年変わりません。

Vappu 2010 Tampere フィンランドの森から
Vappu 2010
雪解けのNäsijärvi(ナシ湖)の水が手前から奥へと流れるています。
空を覆いつくした雨雲と限りなく0度に近い川の水。寒さが伝わってきます。
Vappu 2010 Tampere フィンランドの森から
Vappu 2010
Vappu 2010 Tampere フィンランドの森から
Vappu 2010

私は、フィンランド人は真面目、親切、物静かな人が多いという印象を持っていますが、Vappuのを楽しむ人たちの様子から、イメージとは違った、フィンランド人の陽気でおもしろい一面を見つけました。冬の時期に家にこもる“静”のフィンランドと、春になって動き出す“動”のフィンランドのどちらにも魅力があり、人々はその季節その季節を上手に楽しんでいます。

さて、いよいよ食べ物をご紹介しましょう。Vappuに欠かせないものは、シマ(Sima)という炭酸飲料と、ティッパレイパ (Tippaleipä)という揚げ菓子です。その他にも、春のピクニックではミートボールやポテトサラダなど、お好み次第で様々な品が登場します。シマ(Sima)は既製品も市販されているポピューラーな飲み物ですが、手作りするのも楽しいものです。イーストで発酵させるために寝かせておく1週間くらいのその間、春という季節の訪れを待つその時間が、私は大好きです。

Sima Tippaleipä フィンランドの森から
ティッパレイパ Tippaleipä & シマ Sima

新緑の白樺 フィンランドの森から
5月になると白樺の若葉も一気に出てきます。
5月に入ると木々の緑が出始め、外ですごすのが気持ちの良い季節になります。大通りには夏限定のオープンカフェができたり、レストランのデッキやテラスにもテーブルと椅子が置かれ始めます。太陽が出た途端、半袖になる人が多いことには驚きました。気温が10℃ちょっとしかない日でも、太陽が出ていると半袖姿で歩く人の姿が見られます。寒くても、とにかく日を浴びることを大切にしていることがよく分かりますね。
こうして、フィンランド人は大好きな太陽の季節を迎えます。3月、4月の鬱陶しい雪解け時期を切り抜けて、待ちに待った爽やかな新緑の季節の到来です!
フィンランドの5月の湖畔 フィンランドの森から
青空と新緑と湖
これぞフィンランドの5月。外に出ずにはいられません!
爽やかなイメージのあるフィンランドですが、問題を抱えていないわけではありません。アルコール依存症の人が多いということがその一つに挙げられます。冬の暗く寒い期間が長いことなども要因とされているようですが、気持ちの良い季節が巡って来ると、そんな人たちも外のベンチに何人かで集っている姿をよく見かけました。じっと家にこもりがちな冬から開放されて、誰もが太陽を求めて外へ外へと意識の方向が変わるのですね。

フィンランドについて語っていると、気候に関しては日本のそれを表現する時以上に「違いが大きい」ことを実感します。同じ時期でも年によって気温の差に大きな違いがあり、日々の天気も激しく変化します。一日の中でも、いい天気だと思って出かけ矢先、急に雨雲がかかり、あっという間に雨が降り出したりするのです。天気予報は毎日マメに確認していました。

天気が悪くて期待通りの外出が叶わない日があるからでしょう、好天に恵まれると「今日は子供たちと外で思い切り楽しもう!」という気持ちになり、ベビーカーを押しながらいろいろな場所によく出かけていました。天気のいい日、気候のいい季節に外ですごさないのは勿体ない!そんな気分になるのです。フィンランドの人たちは、長い冬、雪解け雨の多い時期の憂鬱があるからこそ、太陽のありがたさを知っているのだと思います。

ヴァップからの数ヶ月間。誰もが春・夏を思う存分楽しもうと意気込み、フィンランド全体が開放的になる晴れ晴れとした季節です。

草稿: カハヴィラアムリ Kahvila Amuri, 亮子
編集 ・ライティング: LAMPIONAIO, Etsuko

5月になると近所の公園に咲いていた“ハートのお花”
日本では「ケマンソウ」、「タイツリソウ(鯛釣り草)」。
英語では “bleeding heart”。
湖畔 フィンランドの森から

雪解けの季節、イースター(Pääsiäinen パーシアイネン)の季節

フィンランドの3月半ばから下旬にかけて、年により、地域により多少の違いはありますが、雪解けが始まります。
気温が0度を超えた途端に、輝くほどに真っ白い雪の明るさに包まれた季節が終わりを迎えます。

初春 フィンランドの森から
3月末頃の森と湖の様子。まだまだ寒いですが、草木は春の準備をしています。
湖畔 フィンランドの森から
4月12日に撮影した湖畔。
湖の氷はだいぶ解けているものの、岸辺にはまだ氷が残っています。

雪解けの道路 フィンランドの森から
雪解けが始まった外の様子
道路が…
春が近づく喜びと、「ドロドロを我慢するあの時期か…」という、雪が完全に解けて街が乾くまでの憂鬱とが交錯します。

日本の首都圏では、積もった雪なら晴れた日が数日あればあっという間に解けて乾いてしまいますが、フィンランドの積雪量だとそう簡単にはいきません。大量の雪が解けるのですから、その水たまりの大きさも比べ物になりません。街中がドロドロです。その水分が乾き始めると、長い冬の間に車道や歩道に撒いた転倒防止の砂利を回収する車が動き始め、今度は埃っぽい時期に突入します。

森の雪もなくなって茶色い地面が顔を出し、湖の氷も面積が日に日に小さくなります。新緑が見られる気持ちの良い春まであと一歩というところです。

我が家タイヤ交換 フィンランドの森から
我が家の車のタイヤ交換。中古で購入したこの車は、購入時の走行距離が既に23万キロ!4年程使い、帰国前に中古車販売のサイトに掲載するやいなや買い手が現れ、新しいオーナーのもとに旅立ちました。物を使い捨てにしないで大事に使うんですね。
この時期にやるべきことの一つに、車のタイヤ交換があります。DIYが身近なフィンランドでは、車のメンテナンスは多くの人が自分でやってしまいます。もちろん法律で定められた車検はありますが、日々のちょっとした不具合の修理くらい、朝飯前のようです。

DIYといえば、知り合いに自分で家を建てる人や、中古の家を買って自分で改装する人がたくさんいます。珍しいことではありませんでした。自分が日々使うものは自分で手入れをし、大切な居住空間も時間をかけて自分で楽しみながら作るのです。

そんなライフスタイルは、残業に依存しない働き方が大きく影響していると思います。職場環境、また、働く側本人の意識どちらも、労働時間をダラダラ延長するアイデア自体を持っていないように感じます。夕方5時、6時台に職場を出て帰宅したなら、食事を済ませたあともまだ時間があります。その日一日が仕事だけで終わらない毎日が続くのです。

今日はこれから何をしようか。

そんな積極的な気持ちが自然と生まれる社会環境。心にも身体にも優しい社会の仕組み。
日々の暮らしを楽しみ、一日一日を大事に暮らす、生きる。人の自然な姿がそこにある気がします。私がフィンランドの人たちの生活を間近に見て、素晴らしいと感じたことのひとつです。

イースター フィンランドの森から
息子が保育園で作ったイースターの飾りです。
さて、3月、4月といえば、復活祭の時期でもあります。フィンランド語ではPääsiäinen パーシアイネンと言います。キリスト復活のお祝いであることから、卵やひよこを模った飾りやイラストが街中のあちこちで見られます。
フィンランド人にとっては、クリスマスと同じように宗教的に重要な行事で、家族で過ごす大切な時間です。イースターには、クリスマス前に行われるPikkujoulu(ピックヨウル)のような友達との集まりが特にないこともあって、家庭でのイースターのすごし方を体験する機会がなく残念でしたが、カラフルに彩られた街の様子は、春の到来を喜ぶ気持ちに溢れています。

イースターの食卓には羊肉、Mämmi(マンミ)と呼ばれるライ麦から作られるデザートや、Kulitsa(クリーチ)というパンなどが並びます。このマンミ、いつか食べてみたいと思いつつも、機会を見送るうちに食べずに帰国してしまいました。黒い見た目にちょっと抵抗感があったのです。毎年春になるとスーパーで売られているパッケージはどのメーカーのものも大きいことから、マンミはフィンランド家庭では復活祭定番のデザートなんですね。

では、マンミという黒い食べ物の話題に続けて、フィンランドで知ったその他の黒い食べ物を紹介しましょう。

まずは、Lakritsi(ラクリッツィ)というリコリス菓子。黒いグミのような食感の、くせのある風味のキャンディです。その独特の風味からもちろん好まない人もいますが、ムーミンや可愛い動物の子供向けのパッケージに入った物もあって、フィンランド人は子供も大人もキャンディの一種類として食べます。そしてラクリッツィを更に強烈にしたものがSalmiakki(サルミアッキ)というキャンディ。ご存知の方も多いのではないでしょうか。ラクリッツィの味をひときわ強めたような、そして更にアンモニア臭が加わるその風味は慣れない人は顔を歪めるほどです。ところが、サルミアッキ味のアイスクリームやウォッカもあるくらい、フィンランドでは愛されている味です。

Lakritsi ラクリッツィ フィンランドの森から
Lakritsi(ラクリッツィ)のパッケージ。可愛いパンダさんキャラクターで子供も好きにしちゃう?
Salmiakki サルミアッキ フィンランドの森から
Salmiakki サルミアッキ
フィンランドを旅した人なら必ず目にするこのチェック柄
Salmiakki gelato フィンランドの森から
サルミアッキ味のアイスクリーム。黒!

そして、もう一つの黒い食べ物はタンペレ名物、Mustamakkara(ムスタマッカラ、Musta=黒い+makkara=ソーセージ)です。豚の血を使って作るために黒くなるのです。フランスならブダン・ノワールとして知られていますね。リンゴンベリーのジャムを添えて、牛乳を飲みながら食べるのがフィンランド流です。慣れないと見た目はドキッとしますが、鉄分を多く含む美味しいシーセージで、タンペレ暮らしの我が家の食卓にも時折登場したものです。

Mustamakkara フィンランドの森から
Mustamakkara ムスタマッカラ

Kalamarkkinat カラマルッキナット フィンランドの森から
魚市 Kalamarkkinat カラマルッキナット

タンペレと言えば、毎年春と秋にKalamarkkinat(カラマルッキナット)という魚の市が開かれます。開催日が近くなると、案内の貼り紙を街で目にするようになり、季節の移り変わりを伝えてくれました。

その土地それぞれで愛される味があります。目で見て、驚いたり、不思議に感じたり、時には抵抗感を覚えることもありましたが、その時、その場所で恵まれたものを試して、楽しみながらタンペレで暮らしていました。
常に大自然が身近にあり、季節は巡り、行事が繰り返される。当たり前の、そして一時も同じことのない貴重な毎日。日々を丁寧に暮らし、自然からエネルギーを分けてもらいながら自然とともに生きるフィンランドの人々。そしてその暮らし方。私がフィンランドを好きになった理由がそこにあります。

草稿: カハヴィラアムリ Kahvila Amuri, 亮子
編集 ・ライティング: LAMPIONAIO, Etsuko

Kalamarkkinat フィンランドの森から
魚市「Kalamarkkinat カラマルッキナット」の屋台

「白夜のタンゴ」の上映会はお申し込み多数で満席になりました

明日、3/8(水)開催の”フィンランドの森から”­ 映画上映会「白夜のタンゴ」。
すでに参加の申し込みを多数いただき、満席となっております。ありがとうございます!

これから申し込みを予定されていた皆さま、ごめんなさい。またの機会に!

ただし、キャンセル待ちは受け付けております。フィン森のMeetupからお願いします。
もし、キャンセルが出ましたらご案内いたします。