オーロラ フィンランドの森から

手芸の国、サウナの国

2月から3月にかけてのフィンランド。
春に向かって少しずつ日照時間が長くなってはくるものの、昼間の時間はまだまだ短く、雪の日が続くことも多い時期です。長い時間を家の中で楽しく過ごすためでしょう、フィンランドでは手芸がとても盛んです。
ブーツの中にはみんな必ずと言っていいほど、毛糸の靴下を履きます。例えば、その靴下を手編みで作るのです。編み物以外にも羊毛フェルトやかぎ針編み、機織りなども人気があります。

ルイユ Ryijy フィンランドの森から
ルイユ Ryijy
同系色の毛糸のグラデーションで花の立体感を表現してみました。
市販のキットを使いましたが、素敵な仕上がりでしょう?
様々なヴァリエーションが広がる手芸の中でも特別な一つを挙げるなら、Ryijy(ルイユ)という毛糸を使った織り物に決まりです。友達の家に遊びに行った時、壁に飾られたルイユにひと目惚れしたのです。色とりどりの長い毛糸が麻に織り込まれ、毛糸の暖かさがルイユならではの優しい雰囲気を醸し出しています。

早速自分でも作り始めました。ルイユのサイズは多様で、大きいものは一辺が1、2メートルというものもありますが、私はまず一辺が30センチくらいのものから挑戦しました。一度始めるとその楽しさに夢中になり、どんどん進めたくなります。でも、時間には限りがあります。小さい子供が起きている時間には集中できませんから、子供のお昼寝中にひらすら織っていました。ルイユを作る家での定位置は、太陽の光と積もった雪の明るさが差し込むキッチンでした。窓のカーテンを開き、目が疲れると眺めた雪が舞う庭先の景色が今でも昨日のことのように目に浮かびます。

ルイユ フィンランドの森から
ルイユ Ryijy
手芸と言えばここ!という手芸店、Taito Shopには何度も通いました。手作りのための素材や材料がずらりと並び、手芸好きには天国のような場所です。その関連施設でVerkaranta(ヴェルカランタ)という工房があり、自分の作りたい物を選んで講師に教えてもらうこともできます。私は子供たちが保育園に通っている時間、時々この工房で幸せな趣味の時間を過ごしました。

さて、フィンランドと言えば、サウナですね。熱した石に水をかけ、その蒸気で室内温度を上げて体を温めます。サウナには季節を問わず入りますが、真冬には健康法の一つとしてAvantouinti(アヴァントウインティ)と呼ばれる寒中水泳(!)を楽しむことも珍しくありません。湖畔にあるサウナで体をしっかり温め、湖の氷を割って作った穴に入るのです。日本ではヒートショックなどと言って急激な寒暖の差にはネガティヴな考えを持つこともありますが、フィンランドでは血行を良くして体調を整える効果があると考えられています。イメージ写真はラウハニエミサウナのサイトでどうぞ。

Rauhaniemen Kansankylpylä(ラウハニエミサウナ)はタンペレにある公共サウナで、一年を通して湖に入ることができます。私は寒中水泳は体験したことはありませんが、ここで真夏にサウナに入り、その後湖で泳ぎました。ポカポカの体を湖の冷たい水が冷やしてくれて、本当に気持ち良く、フィンランドらしい思い出の一つです。タンペレに行く期間があれば、是非体験してみてください。

かまくらと子供達 フィンランドの森から
子供たちとかまくら作り
3月になると雪解けが始まります。年によって気温の変化はまちまちで、3月下旬にこんなかまくらを作った年もありました。フィンランドの雪は水分が少ないなので、手のひらで固めるのも難しいパウダースノー。そのサラサラの雪で特大の雪だるまを作ったりもしました。雪景色のアパートの庭で楽しんだ子供たちとのいい思い出です。
雪だるま作り、そり遊び、スケートなど、小さい子供たちが楽しめるアクティビティがたくさんあるのもフィンランドの冬の魅力です。

雪だるま フィンランドの森から
庭で雪だるま作り
子供の膝の高さまで積もった雪の上でそり遊び。たっぷり積もった雪の上を歩いたり、真っ新な雪の上に寝転んで人の形を作ってみたり…
雪との遊び方はたくさんあります!
スケートリンク フィンランドの森から
タンペレの住まいの近所の陸上競技場を利用したスケートリンクです。
気温が氷点下になると水を撒いてリンクに模様替え。
いつでも誰でも自由に滑れます。

Laskiaispulla フィンランドの森から
ラスキアイスプッラ Laskiaispulla
ちょうど2月から3月にかけて、イースターの7週間前に食べられるLaskiaispulla(ラスキアイスプッラ)と呼ばれる菓子パンがあります。イースターは年によって日にちが異なるため、ラスキアイスプッラを食べる日もその年によって違います。イースターの7週間前のこの日、フィンランドでは丘をソリで滑り降り、ラスキアイスプッラを食べ、豆のスープを飲む習慣があります。
Pulla(プッラ)とは、フィンランドではコーヒーと一緒に食べるパン、日本的に表現すれば菓子パンの総称で、生地には、ほぼ外れることなくカルダモンが入っています。ラスキアイスプッラは、そのカルダモン入りの生地を丸めて焼き上げ、上下半分に切って中にフィリングを詰めます。フィリングには2種類あって、一つはアーモンドペーストとホイップクリーム、もう一つはジャムとホイップクリームです。コーヒーによく合うパンです。大人も子供も大好きなプッラです。

雪解け前のフィンランドの様子を紹介していたら、プッラとコーヒーが恋しくなりました。

草稿: カハヴィラアムリ Kahvila Amuri, 亮子
編集 ・ライティング: LAMPIONAIO, Etsuko

オーロラ フィンランドの森から
ラップランドで見られることが多いオーロラですが、南フィンランドのタンペレでも何度か見られました。